以下をどうぞご覧ください。
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8月2日付当サイト記事『バター・肉・揚げ物の飽和脂肪酸は超危険!早死リスク増、脳梗塞等の恐れ』では
7月5日にアメリカの医学誌「JAMAインターナル・メディシン」で発表された「バター、ラード、赤身肉などに含まれる
飽和脂肪酸が早死リスクを上昇させる」という研究結果を基に
フードプロデューサーで一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事の南清貴氏が「飽和脂肪酸が人体にもたらす影響」について解説した。
今回は、「JAMA」の発表でもうひとつの問題点として指摘されているトランス脂肪酸について、再び南氏が解説する。
●欧米では規制されているトランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、天然にできるものとして、動物性食品のバター、チーズ、牛肉、羊肉などに微量が含まれ、
特に反芻動物である牛は胃のなかの微生物によってトランス脂肪酸が合成されてしまうため、
わずかではありますが、肉や乳脂肪のなかにもトランス脂肪酸が確実に存在しています。
ただし、それらはほとんど問題になりません。
注意しなければならないのは、工業製品化された食品である
マーガリン、ショートニング、菓子パン、スナック菓子、クッキー、ビスケット、アイスクリーム、インスタント食品、レトルト食品、ファストフードなどに多く含まれる人工のトランス脂肪酸です。
よく食品の成分表に記載されている
「植物性油脂」や、揚げ物に使われている油のほとんどは
トランス脂肪酸を多量に含んでいます。
アメリカ食品医薬品局は、
トランス脂肪酸が悪玉コレステロールの数値を上昇させるだけではなく、
善玉コレステロールの数値を低下させることを認めました。
これは、冠状動脈(心臓)や脳の血管に悪影響を与えるということです。
トランス脂肪酸の摂取は
アルツハイマー病やパーキンソン病の原因となるという研究結果も出ています。
また、血中の中性脂肪の大部分を占めるトリアシルグリセロールを増加させるため、
インスリン抵抗性が増して高血圧や糖尿病の原因になるともいわれています。
トランス脂肪酸は、その構造が酷似しているため
「プラスチック食品」や「狂った脂肪」と呼ばれていて、
欧米各国では含有量などについて厳しい規制があります。
しかし、日本ではまったく規制がなく野放し状態です。
これは、先進国として大変恥ずべき状況です。
日本が規制をしない理由は
「欧米にくらべて摂取量が少ないから」ということですが、
これはまったくの欺瞞としかいいようがなく、
私たちは日常的にかなりの量のトランス脂肪酸を摂っています。
街に出ればファストフード店が軒を並べ、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで売られている食品の表示や外食の際の揚げ物の量を見ても一目瞭然です。
日本でトランス脂肪酸の規制が進まないのは、
ファストフード業界や製パン会社をはじめとする食品業界が圧力をかけているためですが、
私たちは自らの選択で食卓からトランス脂肪酸を排除しなければなりません。
●トランス脂肪酸の大量摂取で糖尿病に
米カリフォルニア大学では「トランス脂肪酸は、人を怒りっぽく攻撃的にする」という研究結果も出ており、
「心身ともに悪影響を与えるので、子供たちの学校給食や刑務所での食事には、
トランス脂肪酸を含まないよう十分に注意するべきだ」とも述べられています。
米ハーバード大学の研究では「トランス脂肪酸を多く含む食品を好む人たちは糖尿病になりやすい」という結果が
発表されています。
これは、34~59歳までの健康な看護師8万4000人を対象に14年間追跡して得られた結果です。
脂肪は体にとって絶対的に必要なものですが、
その種類や摂り方を間違えると、思わぬ事態を引き起こすことになります。
脂肪を正しく理解し、食生活に生かさなければなりません。
そして、脂肪酸の種類によって調理法を変えなければなりません
。炎症を抑制する働きのあるオメガ3脂肪酸は70度で分解が始まってしまうため、加熱には向いていません。
オメガ6脂肪酸の分解温度は170度といわれているので、それ以上の温度で揚げ物をするのはやめたほうがいいでしょう。
このような基本的な情報が、正しく消費者に伝わることを望みます。
いずれにしても、世界的な動きとしては、飽和脂肪酸を多量に含んだ動物性食品の摂取量の見直しと、
工業製品的につくられたトランス脂肪酸に対する規制の動きが活発になっていくことでしょう。
(構成=編集部、協力=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)
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