女性はなかなか自分に自信が持てず、他者の承認を求めがちです。力関係が上の人間から口説かれたことで自尊心を満たそうとすれば、結果的に相手につけいる余地を与えてしまいます。自分を信じる力は、日々自ら耕すものです。

 私は「無所属で多所属」を推奨します。群れずつるまず、でも複数のコミュニティーとつながりを持つこと。趣味や仕事など自信を補給できる場所が複数あれば、自分の足で立つことの支えになると思います。

 電通はハラスメントを黙認する環境にありましたが、特別ひどい会社でもないと思います。テレビ局や芸能界、美容業界などでも同種の問題を見聞きしてきました。苦しいことを経験しなければ成長しないという誤った体育会的思考は日本中に転がっています。不要の痛みを下に押しつけることはもうやめましょう。

 みんな心当たりがあるはずです。ハラスメントに直面しても、笑ってやり過ごしたり、飲み会の席だからとスルーしたり。傍観者だった人も「やめよう」と声を上げてほしい。一人ひとりの声の積み重ねが現状を変えると思うのです。

 残念ながら、日本で「#MeToo」はムーブメントと呼べるほどの動きにはなっていません。私は「MeTooの人」でありたいわけではないけれど、10年、20年後にあのときが変わり目だったねと言える社会に変えるために貢献したいです。

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 はあちゅうさん…1986年生まれ。慶応大学在籍中から人気ブロガーに。電通、ベンチャー企業をへてフリーランス。昨年12月にウェブメディア「BuzzFeed Japan」で、電通時代の先輩からセクハラ・パワハラを受けていたことを告白した。主な著書に「『自分』を仕事にする生き方」(幻冬舎)。